太平洋を部屋から一望できるという宿を予約した。
今年こそは夏休みはそれらしくしたいとサキコは思っていた。
その夜。
宝の船に乗って太平洋を横断する夢を見た。
たまたま通りかかったお寿司屋の暖簾をどうしてもくぐりたくなった。
次の瞬間、重厚な引き戸に右手をかけていた。
もう誰にも止められない。
7月の給料日を迎えてもボーナスはまだ丸のまま残っていた。
ドイツ製の “いい” 掃除機を買うという事は決まっていた。
どこで買おうか吟味しているウチに日本製の新型が台頭してきて、
むむと開いた財布を一旦閉めた。
サキコはこだわりって部屋をつくっている。
ので、そんな思案を人一倍楽しんでいた。
タイタンが揺らした。
太鼓の音に導かれ来てみるともうすでに人集りはできていた。
ハグれない様に手をつないだんだ。
台風が近づいていると胸に書かれたTシャツを着ている男とすれ違った。
PR