瓜がなっていた。
20分差でセットしてある2つ目のアラームを止めてカラダを起こす。
最初に自分に厳しくする場面である。
無事に今日が始まった。
頭を覚ますためにカーテンを開けに立つ。
出勤日の朝の一連の儀式がとどこおおりなく進んでいたが、
窓ガラス越しにぼんやりとした異物感があった。
。。瓜 ?
ベランダのドアを開けると弱くない風が程良い涼しさで頬をなでた。
遥か東側に位置するマンション群の隙間をぬって朝陽が届く。
洋平はその中で目を閉じる。
皮膚の表面に群がる昨日の名残がチリチリと消えてゆく。
。。っプわハ
ほぼ最高の空間で洋平は豪快に欠伸をキめた。
耳が覚める。
鳥がはしゃいでいる。
無遠慮なさえずりがこの島国全体に轟き、
平和な日本の1日がスタートする。
洋平は瓜に近づいた。
。。うぅむ
隣の部屋から1本。
ツルが伸びていた。
そしてウチのベランダの物干竿に絡まっている。
。。いつからだ
洋平はウリというものをきちんと見た経験がない事を知り、
その大きさの基準が分からなかったがかなりのモノだと思った。
右手をそっと添えてみるとズシリとした感触が重々しい。
“瓜の出現”
それが会社を休む理由になり得ない事を、
念のため頭で確認してから部屋に入った。