胡椒の瓶からオッサンが出てきた。
自分は王だと言う。
オッサンが出たばかりほやほやの胡椒は使う気がせず、
瑞玉能里子は茹でたてのラーメンをそのまま食べた。
ぼわと煙とともに出てきたのではない。
王と名乗るそのオッサンはんしょんしょと懸命に這い出てきたのだ。
いかに寛容な瑞玉能里子でも使う事を放棄した。
ひとつセオリーが抜けたいつもの食事にややテンションを落としながら黙々と箸を進めた。
その間、王と名乗るそのオッサンは息を整えると、
倒れた瓶の上によじ登った。
端から端、2歩の距離を何度か行ったり来たりして、
中央の辺りに腰掛けた。
足をぶらぶらと投げ出して瑞玉能里子をうかがっていた。
瑞玉能里子は最後にスープの上澄みをレンゲですくうといつも通りに底1㎝のスープを残し箸を置いた。
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