エンディングが期待はずれだったので、
思いがけず晩餐が盛り上がっている。
とは言え、それで決意が揺らぐということはなかった。
そう簡単なことではない。
サキコはちょっとと言って席を立ち、
ウエイターにレストルームの場所を確認した。
「今日をもって長川紀夫との関係を解消する」
そう決めていた。
先客を示す赤いサインを見て入口まで戻る。
混雑する店内を見渡した。
まったりとした小さなお祭りムードをそれぞれが楽しんでいる。
従業員はそれと反比例して表情に疲労の色が濃かった。
逆側の奥の私達の席がギリギリうかがえる。
長川紀夫の背中はもう輝いていなかった。
絵を描いているという男が隣に越して来た。
えっほえっほえっほえっほ
かけ声は近づいていた。
里美が身動きがとれないのは蓄積した疲労からだけではない。
エンディングの画面を録画していると携帯が震えた。
えっちゃんから手紙が来たのは彼と別れた28時間後だった。
園芸部に入って3週間が経った。
エリッククラプトン?
想像のつかない応えが帰って来た時、
私の胸は8年振りに高鳴っていた。