セイウチとトドについての話が終わろうとしていた頃、
カレが今夜4度目の欠伸をした。
そして腕時計にちらと目をやった。
カタオカサチコも反射的に携帯で時間を確認した。
時刻はまだ8時前。
入店してから間もなく1時間半といったところだった。
セキセイインコが郵便受箱に住み着いた。
それはある日突然の出来事だった。
そして、
どうやら “その所為” で身の回りにラッキーな事が起こっている。
カタオカサチコはそう踏んだ。
「あれの所為に違いない」
居着いたその日。
からあげクンが1個多く入っていた。
それから、ささやかないい事がぽつぽつと起こり始めている。
そして、
きわめつけが昨日だった。
密かに恋心を寄せる後輩とコンビで出張が決まったのだった。
背中の龍がはらりとはがれた。
世界のまん中はアイツのへそだった。
仙台 116km が案内標識に追加されて、
ようやく「ずいぶん来た」感が起こっていた。