「けっこうとけてますね」
えろっとちょうど舌を出したので返事ができなかった。
代わりに細かく頷いたけど、でもきっと届いていないんだと思う。
あとはコノヒトも自分もしばらくそれぞれに無言だった。
剥き出され一度手にされたアイスは融けるしかない。
こっちは外国の氷菓子を舐めながら横目でコノヒトの「様子」を見ていた。
アイスキャンディーがコノヒトの指先でくるりくるりと回転する。
早く早くと溶けながら待って待ってと舌が這い上がっていた。
目が痛くなったので端にぎゅうと寄せていた目の玉を左右とも正面に戻す。
直前、コノヒトが気がついてこっちを見るのだったがそのまま前を向いていた。
頬の上の方がなんだか朱に染まる。
コノヒトの気がアイスに戻ってもまだしばらくは紅潮のやつ引いてはくれなかった。
PR