「影に入るといい」
雲にも届かんのっぽがついに口を開く。
誰もかつて聞いた事のない重低の音声が周囲の空気をびりびりと揺らしながら地面を放射上に這って行った。
外国人の一団がびくりとして揃って振り返る。
やがてそれぞれに顔を合わせ破顔するとちんたらと横断歩道を渡って行った。
一瞬、ぴたりと止まった空気がじわりと流れ出すと走った緊張がゆるりとたわむ。
のっぽはそれきり直立のままで再び遥か駅前、繁華の方角をじっと見下ろしていた。
公園を出てすぐの交差点で信号待ちをしていた外国人の一団はびくりと揃って振り返る。
それっきり、
のっぽは直立のままで、
再び駅前の繁華の方角をじっと見下ろしていた。
ただエントランスの象徴としてゲートをまたいでいるだけだったのっぽが突如言葉を発するから、祭りの名残を惜しみながら帰路につく人々の熱は再燃する。
公園周辺の警備の若い警官隊には緊張が走った。
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