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今日も地球がまわるからワタシはぐるぐる夢をみる、、 ふわふわ浮かんだ妄想を短編小説に込めました、、ユメミルアナタへ愛を込めて☆             
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池までの道すがらで豊橋タモツは空き缶を十一本拾った。
桜はけっこうあちこちにある。
そんな事を思いながら豊橋タモツは今日のルートを軽快に歩いていた。
自宅から片道二十五分、池のある公園までの散歩である。
気分に寄って遠回りしたりしながら、
毎回順路を変えながら池へと足を向けた。
元々は深夜の眠気覚ましである。
受験勉強のリフレッシュに行っていたものが、
入試が終わってもなんとなく続いていた。
早朝と深夜は似ている。
豊橋タモツはどうやら、と最近思い始めていた。
鼻先をヒラヒラと舞う小さなハート形をボクシングっぽく掴もうとして空振り。
照れ笑いながらじいちゃんの声をきいた。
前を見てから、振り返ると後ろに人影が小さく見える。
思ったよりもじいちゃんの自転車はまだずいぶん遠くにあった。
「コーエンいってきたんか」
早朝は声がよく届く。
じいちゃんの自転車は豊橋タモツの歩きより遅かった。
神業的に優雅に自転車を走らせる。
池からの帰りに拾った四本を加えた十五本の空き缶の入ったビニール袋をじいちゃんに向けて軽く上げた。
豊橋タモツの方からじいちゃんの頭に声を送る事はまだできなかった。
じいちゃんは池のある公園を公園と言うけど自分を含め周りはみんな池と言う。

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Edit by : Tobio忍者ブログ│[PR]