鳥の国に来た。今日中に奥さんの元気を探し出したいという想いが強まって会社をズル休みした。仮病の初演技を総務の須木田さんは見破っただろうか。とりあえず携帯の電源を切った。鳥の国に来るのは15年振りで2回目だった。様変わりしていた。東京に住んでいて鳥の国について知る事は難しい。踏み入って違和感を感じた。その原因を辺りをじっくり観察しながら考えていると。そういえば、と気がついたのは鳥が飛んでいない。しばらく見上げていても鳥影が視界を横切る事はなかった。どうやら徐々に首都の中心エリアでは飛行が全面規制されているとのことだ。代わりに交通網が発達していた。中でも地下鉄はずいぶん充実していた。天気も良いのでとりあえず歩く事にした。ビル間に大きな公園が見えるとぱらぱらと雨が額に落ちた。予感を信じて近くの屋根に入ると途端に本降りとなった。ゲリラ豪雨だった。最近、新聞紙面を賑わす現象に鳥の国で出会(でくわ)した。
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