「わんだー?」
見た目少年に聞いてみる。
こいつの名前だよ、そう言いながら男児は長く垂れた犬の両耳を持ち上げた。
どう見ても年齢ひとケタのコドモが大きな犬に股がっている。
それだけでこやつ本当にニンゲンなのかと私は思い始めていた。
一度浮かぶと、妖怪の類いである可能性がどうしても消えない。
私はとりあえず突然現れたコレの呼称を考えて「見た目少年」を妥協線とした。
最近ますます疑い深くて自分が嫌になってしまう。
見た目少年はずっと犬に股がったままでちっとも降りようとしなかった。
犬もなれた様子である。
。。犬?
今度は目の前でしっかりと四肢で立ち尽くす獣に私は違和感を感じ始めた。
子供のように小さいとはいえ二、三十キロはあるはずである。
そんな物を平然と背中に乗せ続けられる犬など二匹といないと確信していた。
ふと湧いた疑問がむくむくと容赦なく成長する。
「じゃあこの巨大な白い毛むくじゃらはなんなんだ」
そうして私は今日もまたダウトの深みへとハマっていった。
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