02_01.3

「サクラノコロニアイニユキマス」
1年の始まりの日に届いた短い便りを1度読み返してから丁寧に二つに折った。
カノジョを待っている間、今日は幾分暖かいのでサカナを食んでいる。
桜の花は川底から見上げるよりも白くて木は黒くなかった。
マンカイ、マンカイ、と口真似をする。
何度も何度も口ずさむ。
髭をぴんと指で弾いてはモグモグと口ずさむ。
寝転んで、時々幹に手を伸ばしては剥がしてかじる。
遠くに目をやった。
おそらく新宿のビルだろう。
あの真上にお日さまがかかる頃、カノジョは来るはずだった。
来るとすればそんな目安の時間だった。
遊歩道から水の縁へと緩やかな傾斜に沿って風が抜ける。
ふわと眠気がもたぐ。