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今日も地球がまわるからワタシはぐるぐる夢をみる、、 ふわふわ浮かんだ妄想を短編小説に込めました、、ユメミルアナタへ愛を込めて☆             
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「サクラノコロニデカケマス」
脇の下の袋から短い便りを取り出すとゆっくりと読み返す。
丁寧に小さく折り畳むと再び小脇を上げて袋に戻した。
朝から幾分暖かいので木陰でサカナを食んでいる。
今日もカノジョを待っていた。
ずっしりと枝につく花を見上げて、マンカイ、マンカイ、と人間の真似をしてみる。
ときよりの少し強い風に枝が揺れた。
わさわさと奇妙な花ばかりのカタマリが上下する。
愉快。
その度に数百の花びらがさわさわと時間をかけて水に舞落ちた。
迷い子が1枚ひらひらひらと鼻先をかすめていく。
池の底から見上げるよりもずっと白くて不思議。
枝が動くと木陰に陽が洩れる。
ちょうど眩しい。
ぽかぽかと暖かい。
普段この時季はまだ水から出ないから色々が不思議。
カノジョを待たないから上に出ないから。
ごろりと寝返ってときよりの太陽を避ける。
眩しいもの。
幹に手を伸ばして剥がしてかじってみた。
遠くを見る。
駅の向こうのビルが今日もくっきりと見えた。
一番高いビルの先に真昼の月がかかる頃、カノジョは来るかもしれない。
そんなキッカケがカノジョらしい。
かもしれない。
そう思ってみて晴天に白い丸影を探そうか。
遊歩道から水際へと緩やかな傾斜に沿ってやわらかい風が下りた。
ふわと眠気がもたぐ。
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Edit by : Tobio忍者ブログ│[PR]