02_02.4

「ペンかしてもらってもいいっすか」
すぐ斜め前の席のクルクルパーマが振り向いてそう言った。

サークルの合同説明会は時間になっても開始されない。
入学してまだ間もないのにそろそろこのルーズさにも慣れてきていた。
そんなものかもしれない。
各授業が開始され新入生のテンションはますます高かった。
ざわめきが歴史ある大講堂を反響する。
屈服していた。
脆弱な集中力が疎ましい。
膝上の文庫本はまだ一度もめくられていなかった。