FULL-MOON STONE
宅急便の品名の欄にはそう書かれている。
差出人は Sakiko Mizuhara 。
サキコからだった。
夏の終りにボーイフレンドをきっぱりとフってから野山美江子は外食が増えた。
大抵は親友のサキコを誘ったりもしくは会社の同僚2〜3人とわいわいと楽しんだ。
仲間内には “孤独に慣れられない” という事は伏せている。
自分がそういうキャラクターではない事を野山美江子は理解していた。
が、
今夜は誰もつかまらず、久しぶりに独りだった。
少しハリキッて値の張る店を予約したものの、イマイチだったので少し疲れていた。
そんな野山美江子が少し酔いながら帰宅すると荷物の配達を知らせるレシートを見た。
野山美江子が宅配ボックスを開けると中央に小さなパッケージがちょこんと置かれていた。
旅行先からの予期せぬ贈り物はイマイチだったディナーを挽回するには十分なインパクトだった。
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