屋根裏の窓から猫を見ている。
杉咲都子はひとときの休息を微睡(まどろ)んでいた。
腕時計に目をやる。
夕の買い出しまではまだ少し時間があった。
猫はごろりと横になると、
陽のあたる瓦屋根の上で腹を見せていた。
1,,,2,3,,,,,,,9匹。
増えたな
習性なのか単に偶然なのだろうか、
一定の間隔で寝転んでいる猫達は皆ほぼ同じポーズである。
妙に愛らしいその光景は眺めていて飽きなかった。
月が変わり10日。
寒い日が続いていたが、
ざぁざぁと久しぶりの雨に降られると翌の今日は一転暖かった。
今年も残り3週間である。
家政婦に転職して2ヶ月が経つ。
憂鬱の閉塞から投げ槍に選んだ職種であったが、
生活力が身に付いていく実感が
自分の性に合っている
3件目の職場で杉咲都子は裕美子さんに出会った。
椎奈家の多忙な未亡人からの強い勧誘に専属となり会社を辞めた。
あれよあれよ
ったが割りと性に合っている。
ようやく仕事のペースが出来上がり杉咲都子そう思い始めていた。
午前の早いうちにがっつり洗濯を済ませ青空に干してやった。
源家で働き始めてから2ヶ月、住み込んでから3週間が経とうとしていた。
おそらく野良であろう、ここぞとばかりに陽を浴びている。
言ってる間にもう2匹加わった。
ここ数日のうちに気温はめっきり下がっている。季節の太陽が低い分、陽光が暖かいのかもしれなかった。「猫の街」という名も満更ではない、杉咲都子がふとそう思うと、猫達はバラバラと面倒くさそうに小さな身体をおこしていった。
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